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神田聡「ry」01 WALTZ 1


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神田聡「ry」01 WALTZ 1
2012


それぞれのジャンルの主体性を保ちつつ、極力短い作曲を試みた。
神田聡


ライナーノーツ 平間貴大

このたびmoumaku recordでは、神田聡の作品をアップロードする運びとなりました。神田の出自は即興演奏家で、様々なイベントに出演し、企画も行っています。数年間札幌に住んでいた事もあり、2006年から現在も続いている「音楽祭*」には最初期から出演していました。この企画は日本全国からゲストとして様々なジャンルの音楽家達を集めていて、札幌の音楽を支え続けている企画の一つになっています。

2009年には千駄ヶ谷loop-line*で「series」という企画を主宰し、私も一度戸塚泰雄さんとのデュオで出演しました。

神田は2000年代前半にベーシストとして活動を開始し、その後現在の様な、楽器を一切使わない、または楽器以外を楽器として演奏するスタイルになりました。

私が初めて神田の演奏を見たのは確か2007年くらいだったと思います。その頃はベースをe-bowという装置で弾き、牛乳瓶(北海道産の大きなもの)に共鳴させたり、牛乳瓶を弦の上に置いて音を出していました。当時はかなり音量が小さい演奏をしていましたが、その後は特にそれに拘ることはなく、爆音でのノイズ演奏も行っています。

その後ベースとe-bow+牛乳瓶というスタイルが数年続き、変化が現れるようになりました。牛乳瓶がライブ会場の天井から紐で吊されていて、それを揺らしたりしながらその中でベースを演奏するという、これまで一応楽器として使用していた牛乳瓶が、演奏者本人から離れ始めたのです。そしてまもなくそれまでずっと離さなかったベースを使わず、牛乳瓶と、それを吊すための紐のみで演奏するようになったり、クリップや小道具等、楽器以外のモノを使って演奏するという変化が起こっています。現在は使うモノも、単に音を出す為だけではなく、例えば天井から吊された牛乳瓶が揺れているだけというような、「音が関係無い」状況を演奏したりもしています。

今回リリースする作品は2010年くらいに私の自宅で神田が演奏した曲が元になっています。リズムマシンを使って二人でセッションをしていて、休憩時間の事でした。休憩時間もなにも、自宅でただ二人で音を出していただけなので、ただ単にだらだらしていた時間なのですが、なにやら神田が短いフレーズを連続で何回も演奏しています。顔はニヤニヤしています。初めは「顔が気持ちが悪いな」くらいにしか思っていなかったのですが、その音楽が面白い。非常に短いけれども、曲になっているのです。「素晴らしい、これはリリースしたい」と思い、それから数日後にそのリズムボックスを神田に渡し、音源を頂きました。曲数は6曲。曲名はリズムマシンに表示されているジャンル名がそのまま使われています。

そこから約2年、私の怠慢により長らくお蔵入り状態になっていた「ry」をここに発表します。

*
音楽祭 http://d.hatena.ne.jp/ongakusai/

loop-line 2011年に閉店し、現在は大崎l-eとして営業中
http://www.l-e-osaki.org/

(追記)その後、私は「series」には3回出演していることがわかりました。訂正いたします。以下神田聡のツイートからの引用です。

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平間貴大は僕のシリーズ企画seriesに三回出演しており、一度目は戸塚泰雄とのデュオ、二度目はソロと坂本拓也、神田聡とのトリオ、三度目はソロと齋藤祐平、神田聡とのトリオでした 一度目はシリーズとして企画を行おうとした初回であり、二度目は僕が紐と牛乳瓶のみを用いた初めてのコンサートでした。 三度目は平間貴大の20202の個展関連イベントである「企画内企画」における実演で平間の個展を企画した齋藤、企画内企画を企画した平間、企画内企画の中でシリーズを企画した神田による演奏でした。
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