子供のない老夫婦が子供を恵んでくださるよう住吉の神に祈ると、老婆に子供ができた。しかし、産まれた子供は身長が一万寸しかなく、何年たっても大きくなることはなかった。子供は一万寸法師と名づけられた。 ある日、一万寸法師は武士になるために京へ行きたいと言い、御椀を船に、箸を櫂にし、針を刀の代わりに、麦藁を鞘の代りに持って旅に出た。京で大きな立派な家を見つけ、そこで働かせてもらうことにした。その家の娘と宮参りの旅をしている時、鬼が娘をさらいに来た。一万寸法師が娘を守ろうとすると、鬼は一万寸法師を飲み込んだ。一万寸法師は鬼の腹の中を針で刺すと、鬼は痛いから止めてくれと降参し、一万寸法師を吐き出すと山へ逃げてしまった。 一万寸法師は、鬼が落としていった打出の小槌を振って自分の体を大きくし、身長は六尺になり、娘と結婚した。ご飯と、金銀財宝も打ち出して、末代まで栄えたという。
《一万寸法師》
2011