ENGLISH


「新・方法」第26号

寄稿と作品からなるEメール機関誌「新・方法」第26号をお届けします。今号はアニメーション総合文化研究所所長で、昨年『〈アート・アニメーション〉についてお応えします』、『私をミュージカル映画につれてって』を刊行された寺川賢士さんにご寄稿いただきました。

[寄稿]

暴露主義者の実態
寺川賢士(暴露主義者)

暴露主義者=資料主義=調査重視=客観的≒研究家
秘密主義者=体験主義=現場重視=主観的=評論家

私は暴露主義者である。

暴露主義者はある題材の情報を収集・整理し、アーカイブや年表を作成する。そこから業界の周知の事実、体験者が伝聞で伝説化している出来事を曝けだし、ありふれたものにする活動をおこなっている。スキャンダルやゴシップはどうでもいい。闇を暴いて業界を健全化させる使命感はない。

端的にいえば、暴露主義者は一部の人たちで共有されている面白い出来事を多くのひとに知ってもらい、多くのひとが面白い出来事を共有することで、世の中が面白くなるのではないかと目論んでいる。

暴露主義者はふだん研究家として活動しているが両者は似て非なるもの。研究家はしばし研究成果のため自分の都合のいいように事実を改ざんする。研究家は結果と自分が大事、暴露主義者は結果にいたるまでの過程と一般への広がりを大事にする。

新・方法は自分たちの活動記録をすべてアーカイブ化しWeb上に公開している。アーカイブは歴史を構築する土台である。このように誰でも情報を利用できる状態にしていれば、第三者がある事象を歴史化するとき役に立つ。

情報は隠れていると伝説化し、現れていると一般化する。伝説化された史実は一時的にはもてはやされる。しかし長期的な観点でいえば、日々の記録こそが歴史では重要な意味を成す。

さぁ皆、アーカイブを公開しよう。さすれば、あなたのところに暴露主義者がやってくる。

†暴露主義者の活動例
『読むアニメーション』no.00 森卓也の系譜(PDF 9.6 MB)
http://www.asobuken.com/issue/pdf/tnsa00.pdf
『〈アート・アニメーション〉についてお応えします』(PDF 10.7 MB)
http://www.asobuken.com/issue/pdf/cacs01.pdf

[新・方法主義者のウェブ作品]

- 平間貴大

純粋な題

http://hrmtkhr.web.fc2.com/new-method/026_j.html

この作品の題は純粋である。

- 馬場省吾

入力と出力 第二番

http://7x7whitebell.net/new-method/shogobaba/026_j.html

にゅうりょくからえられるしゅつりょくはかならずいっていである。にゅうりょくはしいてきだが、しゅつりょくはけっていてきである。このさくひんでは、このぶんしょうじたいのにゅうりょくとしゅつりょくをしめす。

- 皆藤将

3段3列に並べられた9枚の写真

http://masarukaido.com/newmethod/b026_j.html

第24号で発表した「普通の写真」にて使用したストーンヘンジの写真を3段3列に並べた。並べられたストーンヘンジの写真は、何かオカルト的な印象を受けるが、そのような意図はない。

[お知らせ]

- 「実験」 http://7x7whitebell.net/new-method/experiment_j.html

- 「新・方法」はウェブサイトを更新しました。 http://7x7whitebell.net/new-method/

- 平間貴大はウェブサイトを更新しました。 http://hrmtkhr.web.fc2.com/

- 馬場省吾はウェブサイトを更新しました。 http://7x7whitebell.net/

- 皆藤将はウェブサイトを更新しました。 http://masarukaido.com/

- このEメール機関誌の配信をご希望のかたは編集者または新・方法主義者にご連絡ください。

- このEメール機関誌は転送自由ですが、著作権は放棄されていません。

- このEメール機関誌が迷惑メールに分類されてしまうことがあります。お気を付け下さい。

[編集後記]

謹んで新春のお慶びを申し上げます。皆様のこの一年のご健康と、ますますのご活躍をお祈り申し上げます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。(M)

発行人

平間貴大 @qwertyu1357

馬場省吾 @shogobaba

皆藤将 @kaido1900

機関誌「新・方法」第26号 日本語版

2013年1月4日発行