「新・方法」第33号
寄稿と作品からなるEメール機関誌「新・方法」第33号をお届けします。今号の寄稿者は、美術家、元方法主義者、そして元新・方法主義者である中ザワヒデキさんです。中ザワヒデキさんは1年半前に新・方法から脱退して以来、寄稿というかたちで本誌再登場となります。
[寄稿]
「方法」と「新・方法」
中ザワヒデキ(美術家、元方法主義者、元新・方法主義者)
現代絵画は、現代詩は、現代音楽は何を問題としているか。それに答うべく美術家の中ザワヒデキが唱道した方法主義と新・方法主義の芸術に立ち会え! ……とばかりに私は今年度前期、<「方法」と「新・方法」>と題した講義を立教大学で受け持った。本講は教育目的ではないとシラバスに明記し、受講者は立会人であるとした。なぜなら芸術とは前衛芸術のことであり、価値観を更新する前衛は既成の価値観に収まる教育とは相容れず、そもそも芸術とは抜き打ち的で主客を問わずその時立ち会うしかないものだからである。
たとえば2000年1月1日に年賀状とEメールで発信した「方法主義宣言」。元美共闘の彦坂尚嘉は、これに反応しようかどうしようか当時迷ったと後日私に打ち明けた。ここでは後日譚すなわち後からの評価は重要ではない。受信者をして迷わしめたその瞬間こそが、芸術がアクチュアルに機能した時間だったのだ。同様の時間はマネの「草上の昼食」でもダ・ヴィンチの「モナ・リザ」でも立ち現れていただろう。
とはいえ「方法」の活動は2004年12月31日に終焉したため講義内容は歴史記述的で、元方法主義者二名を招いてのゲスト講義は楽しい昔語りと相成った。いっぽう「新・方法」の活動は現在進行形である。現新・方法主義者三名にゲスト講義の内容を委ねたところ、彼らはいきなり「抜き打ちテスト」を実施した。その日の受講者は否応なく何かに立ち会わされたことになる。公開を前提に私が受講者に課したレポート「講義立会記」を、以下URLに掲載する。
http://aloalo.co.jp/nakazawa/2013/08r01j.html
(参考1)「新・方法」による「抜き打ちテスト」
http://7x7whitebell.net/new-method/surprisetest_j.html
講義<「方法」と「新・方法」>
http://aloalo.co.jp/nakazawa/2013/08r02j.html
[新・方法主義者のウェブ作品]
- 馬場省吾
入力と出力 第九番
http://7x7whitebell.net/new-method/shogobaba/033_j.html
「入力と出力 第九番」では、「今」、私がこの文章を実際に入力をしているキーボードのタイプがそのまま出力されている。ただし、「第五番」の説明で述べたように、この作品シリーズの目的は身体性を示すことではない。今作では、「第八番」の方法をより純化させることを目的としている。
- 皆藤将
質問
http://masarukaido.com/newmethod/b033_j.html
今作では極私的な手紙の文面を記述した。この手紙は、特定の誰かに宛てて書かれたものではなく、内容も架空のものである。ご返信をお待ちしております。
[お知らせ]
- 「新・方法 at MUDAI」2013年8月31日(土)、bar MUDAI、東京。 http://www.bar-mudai.jp/(詳細は後日)
- 「抜き打ちテスト」(立教大学内、非公開実施) http://7x7whitebell.net/new-method/surprisetest_j.html
- 「新・方法」はウェブサイトを更新しました。 http://7x7whitebell.net/new-method/
- 平間貴大はウェブサイトを更新しました。 http://qwertyupoiu.archive661.com/
- 馬場省吾はウェブサイトを更新しました。 http://7x7whitebell.net/
- 皆藤将はウェブサイトを更新しました。 http://masarukaido.com/
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[編集後記]
「抜き打ちテスト」の平均点は34点中21点と思いのほか高得点。プロパガンダは一定の成功を収めたようです。 (M)
発行人
平間貴大 @qwertyu1357
馬場省吾 @shogobaba
皆藤将 @kaido1900
機関誌「新・方法」第33号 日本語版
2013年8月4日発行