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「新・方法」第17号

寄稿と作品からなるEメール機関誌「新・方法」第17号をお届けします。
前号でもお知らせしましたが、2012年2月18日に「新・方法」から中ザワヒデキが脱退し、同日、皆藤将が加入しました。今号は皆藤の加入後初の号となります。
今号の寄稿者は春木祐美子さんです。春木さんは、メールニュース「artscape news」の編集人であり、web初期からアート系webサイトに携わってきた一方で、yum名義でデスクトップ・ミュージシャンとして「方法」や「新・方法」メンバーの音楽作品をリミックスした曲集、「方法音楽序説」及び「新・方法音楽序説」などを発表されています。

[寄稿]

「新・方法」の行く末
「中ザワ=ナマズ、平間=ドジョウ、馬場=ウナギ」説、再び(注)
春木祐美子(「artscape news」編集人)

「新・方法」から中ザワが脱退する。

「方法」ではできなかったことが「新・方法」で可能になった。と、「新・方法」という水を得た魚(ナマズ)はその水を「満喫」していた。しかし、美術史の「循環史観」論者であり、それを自らのスタイルにもしてきた中ザワとしては、留まることはできない。「次」へ行かなくては、歴史の循環を止めてしまう。

「新・方法」という水が滞っているという意味ではない。平間(ドジョウ)は「第二金」や「トゥギャり」「TL景」といった日常の活動で「新・方法」の水に滞る隙を与えない。また、馬場(ウナギ)は、その繊細さに裏打ちされた世界をきっちりと作り上げながら、「新・方法」の水を清泉に保ってきた。そうして気がつけば「新・方法」は、水を豊かに湛え、その主のナマズが実際に水の底にいるかどうかは問題ではなくなった。もはや言説だけで十分だ。その言説を伝説にと目論んだのか、中ザワ在籍の「新・方法」は最後の作品「苦行」で滝に打たれた。案の定、その姿は人々の口から口へと伝えられ、伝説化しつつある。

そんな「新・方法」に、新メンバーとして皆藤が加わる。

皆藤といえば、「包丁長」と称される料理人だ。ドジョウとウナギを前に、料理人はどうするのか。鮮やかに捌いてみせるのか、丁丁発止(包丁発止)の命懸けの戦いだ。皆藤参加後の「新・方法」最初の作品も「苦行」であることは、戦いを水の中に持ち込みたい二人(匹)の策略か、それとも、その戦いの厳しさへの暗示だろうか。

やはり、「新・方法」の行く末は、皆藤の包丁捌きに掛かっている。

(注)2011年6月の第二金で「新・方法音楽序説」を取り上げるにあたり、twitterで行なった打ち合わせでの春木の発言で初出。
—「新・方法」の3人はみな、「長いもの」系の魚のようだ。なかなかつかみどころがなく、捕まえたと思うと、ひょろりと抜け出してしまう。中ザワさんはナマズ。馬場さんはウナギ。平間さんはどぜう。—

[新・方法主義者のウェブ作品]

- 平間貴大

ジョルジュ・スーラ《グランド・ジャッド島の日曜日の午後》

http://hrmtkhr.web.fc2.com/new-method/017_j.html

《グランド・ジャット島の日曜日の午後》は、ジョルジュ・スーラが制作した作品である。

- 馬場省吾

量と境界 第一番

http://7x7whitebell.net/new-method/shogobaba/017_j.html

私が本誌にて発表してきた作品シリーズ「昇順へのソート」では、並び替えの方法は数字という記号によって表現されていた。しかし数字の本質とはその記号ではなく、事物と事物を峻別すること、または一定量の事物を分断することである。前作では数字によって表現された部分を空白の量とし、数の本質である境界を明示するのが本作である。今作は『昇順へのソート 第一番「バブルソート」』の、量と境界を示している。

- 皆藤将

サボテンリンクコレクション -皆藤はサボテンへリンクする 、あるいはできない。-

http://masarukaido.com/newmethod/b017_j.html

本作品ではwebの画像検索により出てきたサボテンの画像をハイパーリンクでつなぎコレクションした。リンク先の画像はアップされているサーバーから削除されれば見られなくなるので、時間を追うごとに画像は見られなくなっていき、いつの日かリンク切れとなったURLのみが残る。

[お知らせ]

- 「苦行2」 http://7x7whitebell.net/new-method/austerities2_j.html

- 「新・方法」は、「collision n゜2」(2012年3月17日、SPES Lab.、東京)に出演します。 http://www.spes.jp/

- 新・方法の夜 VOL.4 「新・方法から中ザワヒデキが脱退し、皆藤将が加入する」 http://7x7whitebell.net/new-method/nmn4_j.html

- 「新・方法」はウェブサイトを更新しました。 http://7x7whitebell.net/new-method/

- 平間貴大はウェブサイトを更新しました。 http://hrmtkhr.web.fc2.com/

- 馬場省吾はウェブサイトを更新しました。 http://7x7whitebell.net/

- 皆藤将はウェブサイトを更新しました。 http://masarukaido.com/

- このEメール機関誌の配信をご希望のかたは編集者または新・方法主義者にご連絡ください。

- このEメール機関誌は転送自由ですが、著作権は放棄されていません。

- このEメール機関誌が迷惑メールに分類されてしまうことがあります。お気を付け下さい。

[編集後記]

2月18日に行われた「新・方法の夜 VOL.4」は、どの出演者も素晴らしく盛会のうちに終わりました。同日、新・方法が新体制となりました。それに伴い機関誌の編集人が今号より替わります。新体制の新・方法と機関誌をよろしくお願いします。 (M)

発行人

平間貴大 @qwertyu1357

馬場省吾 @shogobaba

皆藤将 @kaido1900

機関誌「新・方法」第17号 日本語版

2012年3月4日発行